科学が支える子どもの被害防止
 
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被害調査や日常行動調査に基づく防犯ワークショップ
子どもについての危険なできごと調査や行動調査をもとに、地域特性を考慮しつつ、持続可能な防犯活動につなげるために防犯ワークショップが有効です。

防犯ワークショップでは、大人を中心とした「見守りの目」を増やすための方法について、改善案や対策を考え、また地域ごとの環境や特性に応じたアイデアを実施することにより、持続可能な活動として地域に根付いたものになる事を目指しています。


 
防犯ワークショップを立案・実践する
防犯ボランティア、地域団体の主要メンバー、PTAや学校の先生など地域の関与者を募って、ワークショップを企画することで、調査結果を広く共有することができ、対策の立案を効果的に行うことができます。

防犯ワークショップの流れは、(1)「危険なできごと」のあった場所の把握、(2)要因の推測・共有、(3)改善に向けた提案と実施、となります。

危険なできごと調査や日常行動調査によって作成されたグラフや地図は、地域の関係者が子どもの安全を実態に即して考える上での基礎資料になります。また、実際に現地を視察することで、調査結果の解釈が促進されます。さらに、多様な関与者の観点を踏まえて対策を議論することで、地域内の防犯活動に活用しうる資源を発掘することもできます。

防犯ワークショップについての基本的考え方や具体的実施方法について、①地域ネットワーク図の作成、②防犯ワークショップの検討、③防犯ワークショップの企画、④防犯ワークショップの実施、⑤活動の継続に向けて、の5つの手順に従って、ご説明します。
 
①地域ネットワークの図の作成
身近な地域に目を向けると、様々な団体があり、防犯活動について、大切な役目を果たしている団体もあります。
そこで、地域で活動する団体や組織の構成を調べ、それらの関係をネットワーク図として整理し、地域の活動を見えるようにしておきます。
地域の活動を知ることで、子どもの安全を守る活動がムリ・ムラなく、効率よくできる可能性があります。
 

 
②防犯ワークショップの検討
本プロジェクトの「危険なできごと調査マニュアル」や「子どもの日常行動調査マニュアル」を活用し、子どもが遭遇した危険なできごとや日常行動を知ります。

また、通学路の情報や地域の拠点となる施設、および公園等との関係を整理することで、子どもの見守りポイントが見えてくる場合もあります。さらに、地域ネットワーク図に基づくヒアリング調査を通じて、地域での活動や行政支援を知り、防犯ワークショップ時の検討素材とします。
 
③防犯ワークショップの企画
・会場および視察ルートの下見

防犯ワークショップを行う場合、会場の選定や準備はとても重要です。参加人数を把握し、会場の広さや机、イスの数を調整します。プレゼンテーションのためのコンピュータや投影機器、模造紙、ペン、地図、テープなどの物品の手配も必要です。また、当日の視察ルートの検討も欠かせません。

・参加者への連絡

関係主体へ防犯ワークショップの趣旨説明を行い、場合によっては協力を依頼します。また、参加者の選定や案内文発想等の作業が必要です。

・役割分担と班分け

役割分担と当日の班分けを行います。
1つの班は4~5名程度で、活動地域や団体の異なる多様な参加者が交流できるように配慮し、各班に世話役を定めます。世話役は事前の準備会に参加したり、当日の運営をサポートします。
 
④防犯ワークショップの実施
・参加者の意見出し

防犯ワークショップ当日は、実際に子どもが危険なできごとに遭遇した場所の視察を行います。
その後、班ごとに分かれて、地図等を用いながら感想や気づいた点をまとめます。アイデア出しについては、「子どもの防犯や見守りに役立つと思われる地域活動について」、「それらの改善案について」、「その他のアイデアについて」など、段階を追って意見やアイデアを出してもらいます。

・意見やアイデアの整理と次回に向けた準備

ワークショップは限られた時間の中で行うため、事前準備と開催後の情報の整理が大切です。そこで、整理しきれなかった内容を、数人の世話役で再度検討し整理します。
また参加者の予定、年間行事を考慮して計画的に防犯ワークショップの予定を組む事が大切です。



 
⑤活動の継続に向けて
防犯ワークショップを主催する場合、参加者に役割意識を持ってもらうと共に、その後の地域での活動パートナーとして、協力し合う関係を構築することが大切です。 
また、年度ごとに人の移動や参加者の入れ替わりがあるので、活動の引継ぎを意識して行う必要があります。さらに地域での活動内容について情報交換・共有を目的とした発表の場を設定することで、隣の小学校区や隣接する自治会、行政を巻き込んだ地域ネットワークを構築し、継続的な活動につなげる事が必要です。